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海外交流プログラム

山田知典長谷川洋介



山田知典:システム量子工学専攻
長谷川洋介:機械工学専攻


ETH-UT Exchange Program 2005
ETH-UT Exchange Program 2005

ETH-UT Joint Workshop 2006
ETH-UT Joint Workshop 2006

ETH-UT Joint Workshop 2007
ETH-UT Joint Workshop 2007

 スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)に拠点スペースを確保し、平成17年度より、海外拠点との国際研究交流を通じた研究活動、若手の人材育成の推進を目的とし、ETH海外研究交流プログラムを行っている。本プログラムでは大学院学生に単に英語のコミュニケーション・スキルを付与するに留まらず、海外の研究者を前に臆することなく、自分の考えを主張し、リーダーシップを発揮できる人材を育成することを目的としている。これまで平成17年度にRA5名、及び特任助手1名、平成18年度にRA4名、平成19年度はRA3名の派遣を行ってきた。また、ETH側からも教員1名、及び若手研究者(博士学生、ポスドク)4名の受け入れを行っている。

 本プログラムでは、本COEの研究拠点形成アシスタント(RA)を、約2ヵ月の期間ETH Zurich校に派遣している。参加希望者には、事前に受け入れ先ホスト教員と自らコンタクトを取り、派遣期間の活動案を提示し、受け入れの内諾を取ることを義務付けている。この過程で、英語力、企画力の育成を目的としている。その後、参加希望者は、指導教員の承諾書、ホスト教員の受け入れ内諾書、派遣期間内の活動計画書を提出する。最終的に、書類審査、及び英語ヒアリングの結果を基に、派遣RA3 - 5名が選抜される。

 派遣期間中、RAは個々人の研究計画に基づき、研究交流・共同研究を行う。初めて顔を合わせる海外の研究者との共同作業では、英語力だけでなく、プロジェクト・マネージメント力、リーダーシップが問われる。さらに、滞在期間中に現地で開催される各種研究集会への参加、企業訪問などの機会を通じて、自らの専門領域を広げ、俯瞰的な工学的知識を習得する。滞在期間の最終週には、現地の若手研究者との合同ワークショップを行い、活動の総纏めを行う。帰国後は報告書の提出、「専攻横断型講義」の講義時間内に成果発表を行う。

 派遣期間は2ヵ月と短く、その期間内に大きな研究成果を期待することは難しい。むしろ、本交流プログラムを通して、その後の研究室間の交流、共同研究への発展を期待している。通常の留学では、半年―数年の比較的長期間滞在が多く、博士論文執筆、経済面、安全面を考慮すると、リスクが大きく参加に踏み切れないケースが多い。本交流プログラムでは、短期間であるがゆえに、少ないリスクで海外での研究生活に挑戦できる。また、派遣期間の最初と終わりの一週間は、特任教員も滞在し、不慣れな海外生活に学生より早く順応できるよう配慮している。

 滞在期間中は、派遣RAは、それぞれ異なる研究室に所属し、個々人の研究計画に沿って、共同研究を進める。現地の冬学期は10月末から始まるため、到着後しばらくは学生の数も少ない。しかし、この時期は様々な国際学会、ワークショップ、講習会が学内で開催されるため、それらに参加することで、幅広い工学知識が習得できる。11月以降は、冬学期も始まり、各自関連の講義を受講し、欧米の講義スタイルに触れることができる。板書のみではなく、対話重視の輪講形式の講義に新鮮さを感じるRAも居る。最後の週には、滞在期間中の研究成果の総まとめとして、共同研究を行った現地の若手研究者、及びホスト教員を招いて合同ワークショップを開催する。短期間にも関わらず、派遣RAは、例年かなりの研究成果を上げて帰国してくる。これらを基盤として東大-ETH間の共同研究に発展するケースも少なくない。

 以上、短期海外交流プログラムは、大学院学生に不足しがちな企画力、マネージメント力、リーダーシップを付与する有効な手段と言える。また、その研究成果を基盤とした、教員間レベルの連携活動への発展も博士学生派遣の大きな利点である。本交流プログラムで大学院生が得た一番の成果は、単なるコミュニケーション・スキルの向上に留まらず、海外の技術者とも渡り合えるという自信や研究活動に対する高いモチベーションであろう。それらは、帰国後の派遣RAの目の輝きにも現れている。



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