新世紀を迎え、人類社会の目標は、肥大化した人間圏を地球と共生し得る持続的なシステムとして再構築すると共に、多様な価値観を有する人々に、健康で快適な生活と安全で安心な社会を保障することに焦点が移りつつある。そして機械工学にも、新たな知の創造と活用を通じて、そのような人の生活の真の豊かさに貢献することが期待されている。
このような背景から、本プログラムでは、人の豊かな生活を実現する様々な科学技術の中でも最も重要度の高い、エネルギーとバイオ・医療の分野に注目し、そこでのブレークスルー、イノベーションを目標に、機械工学の英知を結集する。情報・バイオ・医学などの異分野との融合も積極的に進め、ナノ・マイクロテクノロジーのインテグレーションによって、独創的かつ先進的な機械システムの創成研究を進展させ、同時にこれらの研究活動を通じて優れた人材の育成を目指し、上述の21世紀の目標達成に大きく貢献することを課題とする。具体的には、多モードのエネルギー変換や環境負荷低減、資源・環境モニタリング、そして、テーラーメイド医療、在宅医療などの新技術を構築する。さらに、これらの先導設計を可能とするために、機械システムの内外で生じるマルチフィジックス・マルチスケール現象のモデリングとシミュレーションの学術を飛躍的に進展させ、体系化することを目的とする。
以上の目的を達成するため、工学系研究科機械工学専攻を核として、関連専攻と生産技術研究所から優れた研究者を集結させ、機械システム・イノベーション国際研究教育センターを組織する。ポスドク研究員、博士課程学生に加えて、海外からの研究員を招聘し、以下の3つの重点プロジェクトの推進に格段の努力を傾注する。
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