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専攻横断型教育プロジェクト |
酒井信介:機械工学専攻 図1 最終成果報告会の様子 図2 参加学生の内訳 専攻横断型の博士課程教育のビジョンとして「揺るぎない基礎素養と高度な専門知に加えて、創造力や未踏分野の開拓力、そして国際的な視野とプロジェクト企画・マネージメント力を有する責任感と使命感のある人材の育成」を掲げている。 博士課程教育の三本柱の一つが、専攻横断型のPBL講義として実施している「機械システムイノベーションI」である。笠木リーダーより、大学院教育で涵養すべき力として1.基礎素養、2.専門知識、3.リテラシー、4.コンピテンシーの4つを掲げているが、本教育プロジェクトではこのうち主としてコンピテンシーの涵養を目指すものである。 旧来の博士課程修了者がとかく産業界からは、特定の専門領域を深く掘り下げることには優れているものの、研究が蛸壺的であるという批判を受けることが見受けられた。今後は、博士課程修了者の進路は、大学や国立研究機関などのアカデミック領域のみならず、産業界にも広く人材を輩出することが重要であるとの認識から、専攻横断型講義の実施に当たっては、産業界との情報交換の場として人材育成懇談会を設けた。産業界からは、博士課程教育の中に俯瞰的な視野の付与、チームワーキング力、研究マネジメント能力の育成が強く求められ、専攻横断型講義における主要課題の一つとして設定した。 本講義は、通年で実施される。講義活動としてプロジェクトを設定し、履修者を各プロジェクトにグループ分けした上で講義と演習を行う。グループごとに、導入講義で設定される未来技術の研究開発課題、即ち、当該技術の社会的意義、その研究開発ロードマップ、市場導入プロセスなどについて、議論を深める。締めくくりとして、成果報告会を開催し、履修者による英語によるプレゼンテーションとポスタセッションによる発表を行う。図1には、最終成果報告会の様子を示す。 参加学生の成果の報告に対して、関連教員や産業界からの参加者も交えて、活発な議論が行われる。図2は、講義を実施した4年間の参加人数とその専攻の内訳を示す。このように関連専攻から広範囲の分野の学生が参加して実施された。参加学生からの評価を調べる目的で、中間段階及び講義終了後の2回にわたってアンケート調査を実施している。その結果、「講義の意義を認める」学生は90%にも及んだ。また、産業界からの評価として、「異分野間のプロジェクトマネジメントを学ぶことは重要」「テーマを絞ってターゲットを決定していくプロセスを学ぶ貴重な機会となっている」など高い評価を得た。 このような講義形態は、従来の大学の教育ノウハウの範囲を超えている。従って、今回の試行で得た経験をもとにチームワーキング力やプロジェクトマネジメントを涵養するための方法論を蓄積し、さらに企業におけるプロジェクト管理の専門家などの協力を得た上で発展させていくことが重要であるものと考えられる。 |
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